<雨の中を歩く>

 

車で狭い裏通りを抜けていた時のこと

暗い夜道は降り始めた雨に

フロントガラスのワイパーも頼りなげで

前方が見えずらかった

 


ゆっくりと車を走らせていると、

ちょうど左側に駐車中の車と右側の電柱に挟まれるように

傘もささずに歩いている黒っぽい人影が目に入った

 


夕闇の中のしのつく雨は、視界がかなり悪かったので

その歩行者に注意しながらゆっくりと脇を抜ける。

 


おさげ髪の19歳くらいの女の子

 


すり抜けるその時に

急に右手を上げたその手の動きで、彼女が涙を拭いたのが判った

 


後ろが気になってミラーで見ても暗闇で何も判らない

彼女は、暗い道を泣きながら雨の中を歩いているんだろう

 


車の中には傘がある


引き返して、

「女の子が傘をささずに濡れていてはいけないわ、

 傘をさしていきなさい。」

そう言いたかった



求めていない時には

手を差し伸べてはいけない


預言者になってから、学んだこと。

2001.8.24